本記事では、アービック建設について会社の特徴、取扱物件の特徴を見ていきたいと思います。
創業は1962年、市川で60年以上続く地場の建設会社で、自社で設計・施工した新築アパートの販売から、中古の一棟マンションの仲介まで手掛けています。
大手の新築アパート業者とも、都心の買取再販業者とも違う。 この形の会社を、投資家としてどう評価すべきか。順に見ていきます。
評判・口コミはあるのか
社名で検索しても、投資家による口コミはほとんど見当たりません。 出てくるのは地域の不動産情報サイトや採用関連のページです。
理由は単純で、地場企業であり顧客の絶対数が少ないからです。市川エリアで一棟を買う人の数は、全国展開の業者の顧客数とは桁が違います。加えて、購入金額を実名で公開する投資家もいません。
客観的な判断材料の一つとして、宅建番号が挙げられます。同社の宅建番号は、「千葉県知事(12)第6805号」となっています。 宅建業免許は5年ごとの更新制なので、12回更新しているということは55年以上にわたって営業を継続していることを意味します。1962年創業で、この業界で60年以上続いている事実を、公的な番号から確認できます。
そしてもう一つ、実際に扱っている物件があります。 会社が何を語るかより、何を売っているかの方が、その会社の性格を正確に教えてくれます。本稿では、そこから見ていきます。
会社概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 社名 | 株式会社アービック建設 |
| 代表者 | 代表取締役社長 加藤 泰寛 |
| 創業/設立 | 昭和37年(1962年)1月創業/昭和55年(1980年)8月設立 |
| 本社 | 千葉県市川市市川1丁目23番地9号 |
| 資本金 | 3,000万円 |
| 従業員 | 36名(2024年4月現在) |
| 業務内容 | 建築の設計・管理・請負・施工・監理、リフォーム、設備メンテナンス、賃貸住宅の営繕・設備・清掃、不動産売買・仲介 |
| 宅地建物取引業 | 千葉県知事(12)第6805号 |
| 特定建設業 | 千葉県知事許可(特-3)第47241号 |
| 一級建築士事務所 | 千葉県知事登録 第1-2109-7546号 |
| 上場区分 | 未上場 |
特定建設業許可と一級建築士事務所登録を持ち、自社で設計・施工を行います。会社説明にも「昭和37年1月創業以降、相続対策を経て質の高い賃貸住宅・戸建住宅を建設してまいりました」とあり、土地を持つ地主に賃貸住宅を建ててきた会社であることが読み取れます。
物件広告にも
「当社は【不動産のプロ】【賃貸のプロ】【管理のプロ】【建設のプロ】からなる資産管理のエキスパート」
と記されています。
エリアは市川市に特化
収益物件ポータルへの掲載は、6件すべてが市川市内です。新田、南行徳、宮久保、真間。地場企業であることの、分かりやすい表れです。
市川市の人口は増えています。 令和8年(2026年)7月31日時点で501,388人、前月比277人増。内訳は自然動態が21人減、社会動態が298人増。つまり転入超過によって人口が支えられている構図です。
隣接する船橋市も2026年1月1日時点で652,241人と65万人に到達し、20〜39歳の人口比率は11.5%と全国平均の10.3%を上回ります。
市川市は江戸川を隔てて東京都と相対し、都心から20km圏内。 総武線、東西線、京成線で都心へ通え、東京の賃料では住めない層の受け皿として機能しています。実需に支えられた、崩れにくい賃貸需要です。
ただし、市川駅徒歩10分の物件と本八幡駅バス15分の物件は、同じ市川市内でも賃貸需要が大きく異なります。市川市は都心への通勤層によって賃貸需要が支えられていることから、駅近物件に需要が偏る傾向があります。
自社開発物件と仲介物件で投資目的が異なる
記事執筆時点における、収益物件ポータルに掲載されている一棟物件は下記6件。
| 種別 | 所在 | 価格 | 利回り | 築年 | 構造 | 戸数 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 1棟アパート | 市川市新田4 | 2億3,150万円 | 3.10% | 2026年2月(新築) | 木造 | 4戸 |
| 1棟アパート | 市川市新田3 | 1億6,000万円 | 5.75% | 2007年1月(築20年) | 木造 | 11戸 |
| 1棟マンション | 市川市南行徳3 | 6億2,000万円 | 4.38% | 1991年2月(築36年) | RC造 | 19戸 |
| 1棟マンション | 市川市宮久保2 | 4億5,000万円 | 5.83% | 2003年2月(築24年) | RC造 | 21戸 |
| 1棟マンション | 市川市真間2 | 3億1,800万円 | 5.41% | 1986年8月(築41年) | RC造 | 21戸 |
| 1棟マンション | 市川市新田2 | 1億4,000万円 | 8.48% | 1976年2月(築51年) | RC造 | 13戸 |
価格帯は1億4,000万円から6億2,000万円、利回りは3.10%から8.48%。 同じ会社の掲載物件でありながら、利回りに大きな開きがあります。
これこそが自社開発物件と仲介物件の違いを表しています。
自社開発の新築|利回り3.10%
最も象徴的なのが、市川市新田4丁目の新築一棟アパートです。
価格2億3,150万円、表面利回り3.10%、木造2階建4戸、建物256.13㎡、土地356.10㎡、JR市川駅徒歩10分。2026年2月竣工。
同社はこの物件の完成見学会を開催しており、「完成前に満室稼働予定」であることを訴求していました。竣工前に埋まっているという事実は、地元で60年営業してきた客付け力の表れと読むこともできます。
キャッシュフローよりも、資産保全・相続税対策重視
表面利回り3.10%ですと、ここから管理費、固定資産税、保険、原状回復費、将来の修繕積立を差し引けば、実質利回りは2%台前半、場合によってはそれ以下になります。
イールドギャップ、つまり「実質利回り − 借入金利」が投資家の取り分となります。
政策金利が上昇している現在、ギャップはほぼゼロ。金利が上がれば逆ざやです。
つまりこの物件は、融資づけをしてキャッシュフローを得る投資ではなく、現金がある投資家の資産保全的な役割や、相続税対策をねらう方向けの物件となります。
向いている人・向いていない人
向いているのは、すでに相当の資産をお持ちで、キャッシュフローより資産の組み替えと承継を優先する方です。市川駅徒歩10分の土地を新築の賃貸住宅として保有する。土地としての価値が残る以上、資産保全としては理解できます。
向いていないのは、融資を使って資産規模を拡大したい方です。利回り3.10%では、レバレッジが利益を生みません。 むしろ金利上昇局面では持ち出しになるリスクがあります。

資産保全や相続税対策なら個人的にはRC物件の方がおすすめです。木造物件は耐用年数が短く、リセールが難しい側面があります。たとえ価値が残っても現金化が難しいと後々面倒です。
仲介の中古物件
レバレッジを効かせて資産を増やしたい方が検討すべきなのは、こちらの層です。
築20年〜51年の中古が、利回り5.41%〜8.48%で並びます。同社が売主ではなく、地場の不動産会社として仲介する物件です。
キャッシュフロー重視の中古一棟投資を検討する際は、融資、修繕、出口を考える必要があります。
- 融資について
RC造の法定耐用年数は47年、木造は22年です。金融機関は耐用年数をベースに融資期間を設定する場合が多く、築年数によっては期間が極端に短くなるか、そもそも融資が付かない可能性があります。あなたが購入する際もそうですが、リセールを狙うのであれば、10年保有した後、売却先が融資を組める期間があるか、という視点も重要です。 - 修繕について
一棟物件は、屋上防水、外壁、給排水管、電気設備がどこまで更新されているかを確認する必要があります。前の保有者がまともに修繕を行っていない物件は避けるべきです。しっかりとした修繕を行っていた場合においても、次回の大規模修繕がいつ頃かは確認すべきでしょう。 - 出口について
仮に10年保有した場合、次の買い手は、さらに融資が組みにくくなります。 特に築古物件の場合は、土地値で売れる物件かどうかが、最終的な答えになります。
特に金利上昇局面においては、家賃を引き上げても賃貸がつくかどうかは、非常に重要な視点です。コストは確実に上がるわけなので、家賃を引き上げなければ実質利回りはどんどん下がりますからね。
投資判断で気をつけるべきこと
新築・中古を問わず、一等物件を購入する際に気をつけるべきことについて、解説します。
その「満室」は本物か
物件を販売する際、初回満室保証や、満室状態での引き渡しを約束する会社があります。
ただ、実は満室にすること自体は、条件次第で可能です。
- フリーレントを長く付ける
- AD(広告料)を厚く出す
- 初期費用をゼロにする
こうした条件で埋めた場合、契約賃料は高くても実質収入は下がり、次の更新で維持できないリスクが高まります。
これは、新築であれば、なおさらです。 竣工時の入居者は「新築」という付加価値に対して賃料を払っています。最初の入居者が退去する数年後、同じ賃料が取れるかどうかが最初の試練になります。
確認すべきは、
- 各室の賃貸借契約の開始時期(直近で一斉に埋まっていないか)、
- 契約時の募集条件、
- 周辺同種物件の実際の成約賃料
です。
収支シミュレーションに、抜けている費用はないか
多くの提案書は満室想定で作られ、次の項目が計上されていないことが珍しくありません。
- AD(広告料) — 入居を決めた仲介会社に払う実費。募集のたびに発生します
- 原状回復費 — 退去のたびに発生します
- 大規模修繕積立 — 10年目、15年目に必ず来ます
一棟では、戸数の分だけ退去が発生します。 AD・原状回復費・空室期間の逸失家賃を合算すると、1回の入れ替えでその部屋の年間家賃の相当割合が消えます。 そしてこれらは表面利回りには一切現れません。
「ADと原状回復費、修繕積立は、この収支表に計上されていますか」
計上されていなければ、それは実現しない数字です。
そして修繕費については、もう一点。 資材費と人件費が高騰しています。過去の相場で組まれた修繕計画は当てになりません。
修繕については、余裕を持った資金計画が必要です。
イールドギャップは足りているか
イールドギャップとは、「実質利回り − 借入金利」のこと。このギャップが投資家の利鞘になります。
金利が上昇局面であるなら、マクロ経済的には物価は上昇傾向、つまり賃料を引き上げられることになります。
ただ、実際は人気物件ほど家賃を上げやすく、そうでない物件ほど、家賃を引き上げられない、場合によっては家賃が下がることになります。もし家賃が下がれば金利上昇とダブルパンチで収益が下がることになるため、現在のイールドギャップだけでなく将来の家賃のポテンシャルまでしっかりと検討すべきでしょう。
出口は見えているか
木造の法定耐用年数は22年、RC造は47年。あなたが10年後に売るとき、買い手が使える融資期間は、その分だけ短くなっています。 返済期間が短ければ買い手は絞られます。
「10年後、この物件を買うのはどういう人ですか。その人はどの金融機関で、何年の融資を組めますか」
そして同社の場合、もう一つ有効な質問があります。 地場で60年営業している会社は、その地域の売買市場を最もよく知っているはずです。
「御社が過去に建てた1棟売りアパートで、売却された事例はありますか。その価格と利回りは」
同社への質問が全てではありませんが、自分の投資が将来どうなるのか、できるだけ解像度高く予測するために、知見やノウハウがある同社からの情報も参考にしましょう。
まとめ
株式会社アービック建設は、市川で60年以上続く地場の建設会社です。設計から施工、その後の修繕までを自社で担い、地域に根を張って賃貸住宅を建ててきました。
そして掲載物件からは、明確な二層構造が読み取れます。
自社建築の新築は、利回り3.10%。 これはキャッシュフローを生む商品ではなく、資産保全と相続対策の商品です。現金を土地と建物に組み替え、評価減を得る。そう理解したうえで検討すべきものです。
仲介する中古は、利回り5.41%〜8.48%。 レバレッジを効かせて資産を増やしたい方が見るべきは、こちらの層です。ただし高利回りの物件ほど、融資と出口の制約が重くなります。
結局のところ、判断は物件と価格で決まります。会社の年数でも、地元での評判でもありません。投資の目的を明確にし、最適な物件を選び抜きましょう!
こんなことで迷っていませんか
- 提案されている物件の利回りは適正か
- 利回り3%台の物件は、自分にとって買いなのか
- 築古RCの融資と出口は、どう設計すべきか
- 金利上昇局面で買っても大丈夫か
- 勧められた金融機関は、自分にとって最善の順番か
- 法人化を検討すべきか
- 土地建物の按分は適正か。土地価格が不自然に高く設定されていないか
昨今の不動産市況は流動的であり、同じ物件でも、購入される方の財務状況によって買うべきかどうかの答えは変わります。
一棟を主軸に、区分も含めて経験してきた身として、ご相談いただければLINEまたはメールでアドバイスも可能です。
一棟を検討される際に本当に難しいのは、物件そのものより、どの物件を、どの金融機関で、どの順番で組むかという設計です。判断に迷われた際は、お気軽にお声がけください。


一棟アパートやRCマンションをメインに投資。
サラリーマン時代に不動産投資を開始し、家賃収入50万円/月を達成し独立。
独立後、不労収入を増やすべく不動産会社や金融機関を開拓し、不動産投資の拡大に成功。
一棟アパートやRCマンションをメインにしていますが、メリットあれば区分、別荘やタワマンも所有しています。
おおやが得意とする不動産投資
一棟アパートから始めるべきか、区分マンションか始めるべきか、不動産投資に興味がある方はどちらの相談にも乗れると思います。相談したい方はLINEで連絡くださいね。
不動産投資に大切なことは勉強ではなく、「順番と速度」です。
おおやの詳細はこちら