「クレドという会社の一棟を勧められているのですが、どう判断すべきでしょうか」
当メディアには、こうした個別企業についてのご相談が少なからず寄せられます。一棟は区分と違い、一度の判断がその後の資産形成の速度そのものを規定します。慎重になられるのは当然のことです。
株式会社クレド(東京都渋谷区)は、長らく都内の中古区分ワンルームを主力としてきた販売会社ですが、2023年より自社開発ブランド「CRED court」を掲げ、一棟領域へ本格参入しました。区分中心の会社が一棟へ商品を広げる――これは近年、業界全体で見られる動きでもあります。
私自身は一棟アパートとRCマンションを資産形成の主軸に据えてまいりました。その立場から、同社の評判および一棟事業を公開情報に照らして検証いたします。結論から申し上げれば、これは「良い悪い」で断ずるべき対象ではなく、貴方の投資フェーズにおける「順番」が合っているかどうかの問題です。そして口コミや評判は、その判断にほとんど寄与しません。その理由を、順を追って解説いたします。
はじめに――なぜ本稿で「利回り何%なら妥当」と書かないのか
検証に入る前に、本稿の方針を明示しておきます。以下、具体的な利回りの閾値は一切示しません。 これは情報を出し惜しむためではなく、示すことがむしろ読者を誤らせるからです。理由は三つあります。
第一に、不動産の利回りは長期にわたって低下し続けてきました。 かつて表面利回り10%が当たり前に転がっていた時代が実在します。その頃の数字を物差しに現在の市場を眺めれば、あらゆる物件が「割高」に見え、永遠に一歩を踏み出せません。逆に、今日の水準を10年後に当てはめれば別の誤りを犯します。利回りの絶対値は、時代の関数でしかない。
第二に、資材費と人件費の高騰が構造を変えています。 同じ立地・同じ規模でも、新築の建築コストは数年前とまるで違います。取得価格が上がれば利回りは下がる。それ以上に見落とされがちなのが、将来の大規模修繕費もまた上昇しているという点です。過去の修繕相場を前提に組んだ長期収支は、その時点で実態から乖離しています。
第三に、許容できるイールドギャップは、資金調達のタイミングによって変わります。 低金利局面で成立していた薄いギャップは、金利上昇局面では成立しません。同じ物件、同じ利回りでも、いつ・どの条件で借りるかによって、買ってよいか否かの答えが反転する。
以上を踏まえれば、「利回り○%以上なら買い」という基準を記事に書き込むことは、無責任な行為だと私は考えます。ブログは毎日更新できるものではなく、書かれた数字だけが独り歩きするからです。
したがって本稿では、時間が経っても変質しない「性質」と「構造」のみを扱います。 具体的な数字の判断は、検討時点の市況と、貴方自身の調達条件に照らして個別に行うほかありません。その擦り合わせが必要な段階に至られましたら、当メディアへご相談いただければと存じます。
クレドという会社――区分主力からの転換期
まず前提として、クレドは一棟専業の会社ではありません。
2011年12月設立、本社は東京都渋谷区恵比寿、資本金5,000万円(2023年3月時点)。設立以来の主力商品は東京都内の中古区分ワンルームマンションでした。外部の不動産投資情報サイトの多くは今も同社を「中古区分マンション中心の会社」として紹介しており、なかには「自社ブランドマンションの開発は行っていない」と明記しているものすらあります。一棟開発は、同社にとって比較的新しい事業領域なのです。
一方で、会社としての基盤は評価に値します。資本金は1,000万円(2018年)、3,000万円(2020年)、5,000万円(2023年)と段階的に増資され、2019年には大阪支社を設立。取引金融機関にはオリックス銀行、きらぼし銀行、西武信用金庫、東京スター銀行、SBJ銀行、みずほ銀行、三井住友銀行など20行超が名を連ねます。
この点は率直に申し上げて、一定の実力を示しています。 私が最も苦しんだのは、独立して会社員という属性を失った直後、一棟の融資が引けなくなった局面でした。それまで通っていた話が通らない。物件は目の前にあるのに、資金の出口がない。あの時期に私が取り組んだのは、融資担当者が何を求めているのかを財務的に分解し、彼らにとって「融資せざるを得ない」形を組み立て直す作業でした。
だからこそ申し上げるのですが、20行超との取引実績を持つということは、少なくとも「どの案件をどの金融機関に持ち込むか」の引き出しを備えているということです。一棟は融資が組めなければ検討の余地すらありません。ここは軽視すべきではないでしょう。
クレドの評判・口コミをどう読むか
「クレド 評判」で検索してこられた方も多いでしょう。実際に投稿されている口コミを確認したうえで、その読み方について申し上げます。結論を先に述べれば、口コミは「会社の姿勢」を測る材料にはなりますが、「投資判断」の材料にはなりません。 理由は後述します。
投稿されている内容の傾向
Googleに寄せられている口コミを通読すると、評価は概ね良好です。具体的には次のような声が並びます。
- 営業担当者のWEBセミナーを受講し、FPとしての家計アドバイスも踏まえて納得のうえで開始できた
- 購入後の管理も問題なく対応してくれている
- セミナーや交流会を定期的に開催しており、他のオーナーと情報共有できた
- 無料の確定申告セミナーが初心者にも丁寧だった
- 4年ほどの付き合いだが、経営陣もスタッフも接しやすい
低評価は、コメントを伴わない星1が1件確認できるのみです。同社はこの投稿に対しても「真摯に受け止めております」「ご不満な点を直接お聞かせいただけますと幸いです」と返信しており、すべての口コミに個別に返信している点は、少なくとも顧客対応の姿勢として評価してよいでしょう。
そのうえで、四つ指摘しておきます
第一に、運用成績に言及した口コミが一件もありません。
内容を精査すると、評価されているのは「担当者の説明が丁寧」「アフターフォローが手厚い」「セミナーが分かりやすい」「交流会が有益」といった、接客とサポート体制に関するものにほぼ限られます。利回りが想定通りだったか、キャッシュフローが計画通り出ているか、売却で利益が出たか――投資家が本当に知りたい情報は、口コミからは一切読み取れません。
これは同社に限った話ではなく、不動産投資の口コミ全般に共通する構造です。接客は購入直後に評価できますが、投資の成否は10年単位でしか確定しないからです。
第二に、一棟に言及した口コミが見当たりません。
投稿の多くは「投資用不動産」「不動産投資」という表現に留まりますが、同社の主力が長らく区分ワンルームであったこと、そしてCRED courtが2023年開始であることを踏まえれば、現時点の口コミの大半は区分オーナーによるものと考えるのが自然です。つまり、本稿の主題であるCRED courtについての評判は、事実上まだ存在しません。
第三に、投稿時期が特定期間に集中しています。
確認できる口コミの多くが同時期に投稿されており、かつ「感謝祭にご招待いただいた」「交流会に参加した」といった、オーナー向けイベントへの言及を含むものが複数あります。これは口コミが自然発生的に蓄積したのではなく、イベントを起点に集まった可能性を示唆します。
これ自体は不正でも何でもなく、企業活動として一般的なことです。ただし読む側は、継続的に付き合いのある満足度の高い層に偏ったサンプルであるという前提で受け止める必要があります。不満を抱えて離れた顧客は、そもそもイベントに参加しません。
第四に、不動産以外の商品への言及があります。
「社債、保険等多岐にわたり頼りになる」「不動産以外にも投資商品の開発」といった口コミが見られます。同社が資産形成全般のコンサルティングを掲げている以上これは自然な流れですが、不動産投資の相談として臨むのであれば、論点は切り分けてください。 一棟の収支と、社債や保険の是非は、まったく別の判断軸です。
なぜ不動産投資の口コミは一般化できないのか
より根本的な話をいたします。不動産投資において、口コミは構造的に機能しません。
投資で成功した人は、その事実を公言する動機を持ちません。むしろ良い情報源は隠すのが合理的です。逆に失敗した人も、自らの判断ミスを実名で書き残すことは稀です。結果として、口コミに集まるのは「投資の成否とは無関係な、接客体験の評価」ばかりになります。
さらに、同じ会社であっても担当者によって提案の質はまったく変わります。星5をつけた方の担当者と、貴方の担当者が同一人物である保証はどこにもありません。
そして最大の問題は、口コミが投稿される時点では、その投資の成否がまだ確定していないことです。購入直後の満足度は、当然ながら高くなります。真価が問われるのは10年後、15年後――そして口コミは、その頃には誰も更新しません。
したがって、評判を見るべき対象は「投資が成功するか」ではなく、「この会社は顧客に対して誠実に振る舞う組織か」に限定されます。 その意味では、クレドの口コミは概ね良好であり、返信対応も丁寧です。ここは素直に評価してよい。
しかし、それは「貴方がこの物件を買って成功するか」という問いには、何ひとつ答えていません。 判断は、貴方自身の数字と状況に基づいて行うほかないのです。
「CRED court」の中身と、エリア表記のズレ
同社の一棟事業の中核が、開発ブランド「CRED court」です。公式サイトによれば、賃貸需要を見据えた立地選定と設計にこだわり、企画段階から管理・運営、出口までを一貫して支援するとのこと。木造アパートのほか、ビル・テナント、RCのコンパクト1棟マンションも扱うとしています。
最も具体的な情報が「CRED courtの歩み」の項にあります。シリーズは2023年にスタートし、これまでの展開エリアは以下の通りです。
門前仲町/浅草East/西荻窪/荻窪/池袋/高円寺/下井草/四ツ木/中延/柏
公式サイトはこれを「都心部を中心に展開」と表現していますが、個人的には印象がことなります。
列挙された10エリアのうち、いわゆる都心5区(千代田・中央・港・新宿・渋谷)に該当するものは1つもありません。内訳は杉並区が4つ(西荻窪・荻窪・高円寺・下井草)と最多で、あとは江東区(門前仲町)、台東区(浅草)、豊島区(池袋)、葛飾区(四ツ木)、品川区(中延)、そして千葉県柏市です。実態は「東京23区の生活圏を中心に、一部県内近郊を含む」展開と把握するのが妥当でしょう。
ただし、これを欠点と断ずるのは早計です。都心5区の土地価格では、木造アパート開発の採算は事業として成立しません。 これは業界構造上の必然であり、同社に限った話ではない。中央線沿線の杉並区は単身・二人世帯の賃貸需要が厚く、この帯のエリア選定自体には合理性があります。
最大の論点――「順番」を誤ると、次の融資が引けなくなる
ここからが本稿の核心です。当ブログで繰り返し申し上げている通り、不動産投資の成否を決するのは勉強量ではなく、【意思決定の順番】と【実行の速度】です。そして「順番」は、利回り水準と違って時代に左右されない、普遍的な構造の話です。
新築ないし築浅の一棟は、販売価格に開発事業者の利益、広告費、販売経費が当然に上乗せされています。これは商売として何ら不当ではありません。しかし投資家側から見れば、購入した瞬間、実勢価格は取得価格を下回るという事実は動かしがたい。
ここで何が起きるか。次の融資を打診した際、金融機関は貴方の保有資産を実勢評価で査定します。取得価格ベースの帳簿ではなく、売ればいくらになるかで見るのです。新築を割高に掴んだ直後の投資家は、この査定で資産超過になりません。結果として、次の融資が出ない。拡大が止まる。
私が独立直後に味わったのも、これと地続きの感覚でした。融資の扉が閉じるという事態は、物件の良し悪し以前に、ポートフォリオ全体が金融機関からどう見えているかで決まります。目の前の一棟だけを見て判断すると、この視点が抜け落ちます。
加えて、木造の法定耐用年数は22年です。融資期間が構造的に短くなり、返済比率が高止まりする。同じ利回りでも、融資期間が短ければ手残りは薄くなります。
したがって、私の見解はこうです。
これから規模を拡大していきたい方にとって、新築系一棟を最初の一手に据えるのは、順番として推奨できません。 まず実勢評価で資産超過を作れる物件を押さえ、その与信を担保に次へ展開する。これが物件側から見た「順番」です。
逆に言えば、すでに一定の資産を築かれ、これ以上の拡大よりも安定運用・相続対策・手離れの良さを優先されるフェーズの方にとっては、選択肢として十分に成立します。 新築は当面修繕が発生せず、管理の手間も少ない。この価値を過小評価すべきではありません。
同じ商品が、フェーズによって正解にも不正解にもなる。それだけの話です。

会社員か独立後かによってもまた話は変わってきます。融資に関しては変数が非常に多いので、困ったらLINEで相談にのってますよ。
もう一層の「順番」――どの金融機関に、どの順序で当たるか
ここまでは物件の順番の話でした。しかし融資には、もう一段深い順番が存在します。どの金融機関に、どのタイミングで、どの順序でアプローチするかです。
金融機関にはそれぞれ得意とする構造、築年、エリア、そして案件の持ち込まれ方に対する感度があります。順序を誤れば、本来通ったはずの案件が通らなくなることすらある。そして一度つけた足跡は、後の交渉にも影響します。
ただし、この順序の最適解は、物件の性質、貴方の属性、法人の有無とその状態によってまるで変わります。一般論として書き下せば、誤った適用のほうが害を生む。 ゆえに本稿では、これ以上踏み込みません。
申し上げたいのは一点です。販売会社が提携金融機関を紹介してくれるということは、貴方の融資の「順番」を、その会社が握るということでもあります。 それが最善の順序かどうかは、貴方自身が別の物差しを持っていなければ検証できません。
見極めが必要な3つの点
1. 投資判断に必要な数値が公開されていない
CRED courtのページには、価格帯、想定利回り、戸数、構造、想定家賃、開発棟数――投資判断に不可欠な数値が一つも記載されていません。
書かれているのは「安定した収益性と資産価値の両立」「立地を厳選」「高い評価」といった定性的表現に終始します。つまり問い合わせて営業と話さなければ何も分からない設計です。
これ自体は業界では珍しくありません。しかし当ブログの立場からは看過できません。数値が開示されていなければ、投資家は検証に時間を要します。それは即ち【速度】の低下です。 好機を捉えるべき局面で、基礎的な数字の確認に何度も面談を重ねさせられる構造は、それ自体が投資家にとってのコストにほかなりません。
面談に臨まれる前に、他社の類似エリア・類似規模の物件情報を複数集めてください。比較対象を持たずに座れば、提示された数字が高いのか安いのかを判断する基準がないまま、相手のペースで話が進みます。
2. シリーズ開始から3年――出口が未検証
CRED courtは2023年スタート、2026年現在でまだ3年に満たない段階です。
新築一棟の真価が問われるのは竣工から10年〜15年以降です。新築時は空室が出にくく修繕費もかかりません。設備の更新期を迎え、周辺に競合の新築が建ち、賃料が下がり始めてからが本番であり、最終的な成否は売却して初めて確定します。
しかも先に述べた通り、資材費・人件費の高騰により、大規模修繕の費用は過去の相場では収まりません。 竣工から10年後に提示される見積もりが、購入時のシミュレーションで想定していた金額を大きく上回る可能性は、現在の物価環境下では決して低くない。長期収支は、この上振れを織り込んで見るべきです。
公式サイトに「確かな歩みを重ね、オーナー様からも高い評価をいただいています」という記述はありますが、事業自体はまだ3年なので多くの投資家がまだ評価し切れるタイミングにいません。
これは同社を非難する材料ではなく、新しいブランドである以上そうなるというだけのこと。ただし「実績あるブランド」と「実績を積んでいる最中のブランド」は、峻別して評価する必要があります。
3. 家賃保証(サブリース)と、買主も自社である構造
クレドは家賃保証・サブリースを提供しています。サブリースには一長一短があり、リスクとリターンのバランスを見て、判断すべきです。確認すべき点としては、
- 保証賃料の改定条件と改定サイクル(多くは数年ごとに減額改定されます)
- 免責期間(入居者退去後、保証が止まる期間の有無と長さ)
- 中途解約の条件と違約金
- 原状回復費・広告費の負担区分
とりわけ「保証賃料は将来にわたって固定ではない」という点は、契約書の文言で必ず確認してください。
なお同社は売却査定サービスも持ち、自社が直接「買主」となるため仲介手数料をかけずに売却でき、入居中でも売却可能としています。窓口が一本化される利便性は、本業をお持ちの方にとって実利があります。ただし裏返せば売り手と買い手が同一企業になるということでもあり、査定価格の妥当性を、査定した当人と比較検証することはできません。売却検討時には必ず他社にも査定を出してください。
収支を蝕む2つの実務コスト――「AD」と「金利」
ここからはクレド固有の話を離れ、一棟全般に共通する論点です。区分1戸では表面化せず、戸数が増えた瞬間に効いてくるコスト構造があります。
AD(広告料)の相場は、エリアで別物になる
ADとは、入居者を決めた仲介会社にオーナーが支払う広告料です。仲介手数料とは別に発生する、募集のたびに出ていく実費にあたります。
私は首都圏から地方まで物件を分散保有しておりますが、このAD相場のエリア差は、机上のシミュレーションでは決して見えてきません。 人の動きが多く決まりやすい都心部は低く、郊外・地方はそれより高くなる傾向があります。閑散期にはADを出す物件が増えて相場自体が上がり、早期に決着させたい場合には相場を大きく超える水準を出すケースすらあります。そして相場を下回れば、そもそも仲介会社に紹介すらしてもらえません。
区分1戸なら退去は数年に一度のイベントで済みます。しかし戸数が増えれば、退去の頻度はその分だけ増えます。
1戸の入れ替えで発生するのは、ADだけではありません。
- AD(広告料)
- 原状回復費
- 空室期間中の逸失家賃
この3つを合算すると、その部屋の年間家賃のうち相当割合が、たった1回の入れ替えで消えます。 そして重要なのは、これらが表面利回りには一切現れないという点です。年間で複数戸が動けば、満室想定の収支は容易に崩れます。
つまり短期での入居者入れ替えが続く物件は、満室稼働していても赤字に転落しうる。学生向け・単身赴任向けなど、回転の速い層を狙った単身用の間取りでは、この構造がとりわけ強く効きます。私が都内の単身用一棟で最も注視しているのも、利回りではなく回転率です。
「このエリアのAD相場は家賃何ヶ月分か」「想定している平均入居期間は何年か」――この2つは必ず数字で確認してください。 曖昧にする会社であれば、その時点で判断材料になります。
金利上昇局面で、求められるイールドギャップは厳しくなる
日銀は2026年6月の金融政策決定会合で、政策金利を1.0%程度へ引き上げました。これは1995年以来、約31年ぶりの水準です。以降も日銀は現在の金融環境をなお緩和的と位置づけ、利上げを続ける方針を維持しています(本稿執筆時点)。
不動産投資ローンは住宅ローンより高い金利が適用されるのが通例であり、この上昇圧力はそのまま返済負担に乗ってきます。
ここで確認すべき指標がイールドギャップ、すなわち「実質利回り − 借入金利」です。この差が投資家の取り分になります。
冒頭で申し上げた通り、私は本稿で「ギャップ何%以上なら安全」という基準を示しません。なぜなら、求められるギャップの水準そのものが局面によって動くからです。 金利が下がり続ける局面では、薄いギャップでも時間が味方をしてくれました。しかし上昇局面では逆に働きます。加えて修繕費が上昇している以上、将来の支出に備えて確保しておくべき厚みも、以前より増していると考えるべきでしょう。
「かつてこの程度のギャップで回っていた」という感覚は、今、最も危険な物差しです。
だからこそ、面談では次の一言が有効になります。
「金利が2%上昇したとき、この物件のキャッシュフローはいくら残りますか。試算を見せてください」
現在の金利での試算しか用意していない提案は、この局面では片手落ちと言わざるを得ません。
対抗手段は「家賃が上がる物件」を選ぶこと
金利上昇への対抗手段は限られています。繰上返済、固定金利への切り替え、そしてもう一つが家賃の上昇余地です。
インフレ局面では家賃も上昇しうるのですが、家賃は株価のように即座には動きません。契約更新や入居者入れ替えのタイミングでしか改定できず、反映は数年遅れます。 ゆえに「そもそも賃料が上がる余地のあるエリアか」が、物件選定の段階で問われることになる。
見るべきは過去数年の賃料推移と人口・世帯数の動態です。賃料が横ばい、あるいは下落傾向のエリアで新築を買えば、金利は上がり修繕費も上がるのに家賃だけは上がらないという、最悪の組み合わせが完成します。
この観点では、クレドが人口動態やエリア特性の分析を掲げていること自体は理にかなっています。ただし裏付けデータが公開されていない以上、面談で提示させるほかありません。

クレドが一棟アパートを展開するエリアは、アパート投資としてはお手本のようなエリアです。ただそれと収支が問題ないかは別問題。特に物件価格が金利上昇局面でも妥当かどうか、しっかりと検討する必要があるでしょう。
面談前に用意すべき質問リスト
CRED courtに限らず、一棟を検討する際に共通して有効な項目です。
物件と融資について
- 構造・法定耐用年数と、想定される融資期間・金融機関
- 表面ではなく実質利回り(NOI利回り)はいくらか
- 土地値と建物値の内訳、および積算価格
- 金利が2%上昇した場合のキャッシュフロー試算
募集コストについて
- このエリアのAD相場は家賃何ヶ月分か
- 想定している平均入居期間・退去率の前提
- ADと原状回復費は、収支シミュレーションに計上されているか
運用・出口について
- CRED courtシリーズの現在の入居率実績
- このエリアの過去数年の賃料推移データ
- シリーズの売却実績と、その際の利回り・価格
- 竣工後の大規模修繕は何年目に、いくらを想定しているか。その見積もりは直近の資材価格を反映しているか
そして最後に一問
- この物件を、御社の社員は買っておられますか
最後の質問は意地が悪く見えるかもしれません。しかし返答の中身より、返答時の態度にこそ情報があります。
結論――問うべきは「良い会社か」ではなく「今の自分の順番に合うか」
クレドの一棟アパート投資は、20行超の金融機関ネットワークと、出口までを自社で担う一貫体制に実利がある一方、CRED courtというブランド自体は2023年開始で、公開情報が定性的表現に偏り、長期の検証データが存在しない段階にあります。
口コミの評価は概ね良好であり、返信対応も丁寧です。しかしそこで語られているのは接客とサポート体制であり、運用成績に触れた声は一つもありません。まして、CRED courtの一棟オーナーによる評判は、シリーズが2023年開始である以上まだ存在しないのです。
繰り返しますが、これは「良い会社/悪い会社」の二分法で語れる話ではありません。これから規模を拡大していきたい方が最初の一手にこれを据えれば、次の融資枠を潰しかねない。一方、安定運用と手離れを求めるフェーズの方には合理的な選択肢になりうる。 判断を分けるのは商品ではなく、貴方が今どの局面に立っているかです。
そして本稿で一貫して申し上げてきた通り、利回りの絶対値を物差しにすることは、現在の環境下では特に危険です。 利回りは長期にわたり低下し、資材費高騰は取得価格と将来の修繕費を同時に押し上げ、金利は上昇局面にある。この三つが同時に動いている以上、過去の感覚も、他人の成功事例の数字も、貴方の判断基準にはなりません。
必要なのは、検討している「その物件」を、「その時点の調達条件」で、「貴方のポートフォリオの順番」に照らして評価することです。
資料請求も個別相談も無料です。本稿の質問リストを携え、複数社を並べて比較なさってください。そのうえで、ご自身の投資フェーズにおける「順番」の判断に迷われた際は、私にご相談いただければと存じます。
貴方の資産形成が、正しい順番と速度で前進することを願っております。


一棟アパートやRCマンションをメインに投資。
サラリーマン時代に不動産投資を開始し、家賃収入50万円/月を達成し独立。
独立後、不労収入を増やすべく不動産会社や金融機関を開拓し、不動産投資の拡大に成功。
一棟アパートやRCマンションをメインにしていますが、メリットあれば区分、別荘やタワマンも所有しています。
一棟アパートから始めるべきか、区分マンションか始めるべきか、不動産投資に興味がある方はどちらの相談にも乗れると思います。相談したい方はLINEで連絡くださいね。
不動産投資に大切なことは勉強ではなく、「順番と速度」です。
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