東京の都心で新築一棟RCを探していると、株式会社グランドデザインの投資マンションシリーズ「EDIT」に行き当たります。日本橋に本社を置く2009年設立の開発会社で、杉並・中野・文京・荒川といったエリアで、土地30坪〜80坪程度の狭小地にRC造のマンションを建てて販売しています。
土地101㎡にRC6階建、延床438㎡。総戸数は7〜11戸。間取りは1LDKから3LDK。こういった物件を開発、販売している企業です。
評判・口コミはあるのか
社名やシリーズ名で検索しても、投資家による口コミはほとんど見当たりません。 一棟RCを買う人の絶対数が少なく、購入金額を実名で公開する投資家もいないためです。
代わりに、確認できる材料が二つあります。
一つは、宅地建物取引業免許が「東京都知事(4)第90669号」であることです。 宅建業免許は5年ごとの更新制なので、(4)は更新3回、15年以上の営業実績を意味します。2009年6月設立という記載と整合しており、公的な番号から営業年数を確認できます。
もう一つは、販売実績の公開です。 同社はサイトで販売中物件と販売実績を継続的に公開しており、所在地、駅距離、土地面積、延床面積、構造、竣工年月まで記載しています。地図から実績を探せるページも用意されています。
口コミよりも物件の実績の方が実態を把握するには良いですね。
会社概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 社名 | 株式会社グランドデザイン |
| 設立 | 2009年6月 |
| 代表者 | 代表取締役 加藤 健志 |
| 資本金 | 6,700万円 |
| 所在地 | 東京都中央区日本橋2-10-4 合人社江戸日本橋ビル6階 |
| 事業内容 | 投資用マンション開発事業/商業開発事業/投資用ホテル開発事業/一戸建分譲事業/販売代理事業/不動産ソリューション事業/マンション買取再販事業 |
| 宅地建物取引業 | 東京都知事(4)第90669号 |
| 加盟団体 | 東京都宅地建物取引業協会/全国宅地建物取引業保証協会/全国住宅産業協会/東京商工会議所/日本橋法人会 |
| 上場区分 | 未上場 |
取引銀行は、
- 城北信用金庫
- 東京シティ信用金庫
- りそな銀行
- 東和銀行
- みずほ銀行
- きらぼし銀行
- 香川銀行
- 常陽銀行
- 山梨中央銀行
- 千葉興業銀行
- 静岡銀行
- 千葉銀行
- 三井住友トラスト・ローン&ファイナンス
と幅広く、信用金庫から都市銀行、地方銀行、ノンバンクまで13行が並びます。
一棟は融資が組めなければ検討の余地すらありません。 これだけの取引実績があるということは、「どの案件をどの金融機関に持ち込むか」の引き出しを持っているということです。
事業は投資用マンション開発のほか、商業開発「GRAND LUXE」、投資用ホテル開発「OYADO」、一戸建分譲、買取再販まで幅があります。
エリアは都心の沿線駅が中心です
販売中・販売実績を見ると、杉並区(阿佐ヶ谷・西荻窪)、中野区(中野新橋)、文京区(本郷)、荒川区(西日暮里)、武蔵野市(吉祥寺)が中心。
都心5区の一等地ではなく、中央線・丸ノ内線沿線を中心とした住宅地です。ただし駅距離は徒歩1分、3分、5分、6分と近い。「都心の一等地」という同社の表現より、「都心アクセスの良い沿線駅至近」と理解する方が実態に近いでしょう。
都心5区のようなエリアはアパート需要も少なく、土地コストを考えればなかなか収支が合わないため、こうした住宅エリアが開発の中心となるのは必然とも言えます。
なお同社は「最寄駅より10分以内の希少性の高い立地」を掲げていますが、販売中のEDIT吉祥寺は徒歩14分です。訴求と個別物件の条件は、必ず照らし合わせてください。
取扱物件|狭小地にRCを積む開発です
同社が公開している物件データを並べると、物件の傾向が見えてきます。
| 物件 | 所在 | 駅距離 | 土地面積 | 構造 | 延床/間取り |
|---|---|---|---|---|---|
| EDIT 本郷 | 文京区本郷2 | 本郷三丁目 徒歩6分 | 101.09㎡(30.58坪) | RC6F | 延床438.79㎡ |
| EDIT 阿佐ヶ谷 | 杉並区阿佐谷北2 | 阿佐ヶ谷 徒歩1分 | 117.12㎡(35.42坪) | RC4F | 延床300.94㎡ |
| EDIT 中野新橋Ⅲ | 中野区弥生町2 | 中野新橋 徒歩3分 | 168.52㎡(50.97坪) | RC4F | 延床389.14㎡ |
| EDIT 西荻窪 | 杉並区上荻4 | 西荻窪 徒歩10分 | 209.54㎡(63.38坪) | ー | 1LDK2戸・1SLDK3戸・2LDK2戸(計7戸) |
| EDIT 日暮里 | 荒川区西日暮里2 | 日暮里 徒歩5分 | 227.86㎡(68.92坪) | ー | 1LDK4戸・2LDK7戸(計11戸) |
| EDIT 吉祥寺 | 武蔵野市吉祥寺北町2 | 吉祥寺 徒歩14分 | 278.56㎡(84.26坪) | ー | 1LDK1戸・2LDK2戸・3LDK6戸(計9戸) |
土地が小さく、容積を積んでいます
EDIT本郷は、土地101.09㎡(約30坪)にRC6階建、延床438.79㎡。 土地面積の4倍以上の延床を確保しています。容積率の高い地域で、上に伸ばす開発です。
これは都心開発の合理的な手法です。 土地が高い地域では、限られた面積からどれだけ収益を生む床を作れるかが勝負になります。同社が「共有スペースを最小限に抑えた、無駄のないプラン」を掲げているのも同じ文脈です。
一方で、買い手として理解しておくべき点があります。
土地が小さいということは、積算評価における土地の寄与が限られるということです。金融機関が積算価格を見る際、土地の評価額と建物の評価額を合算します。 建物の評価は経年で下がっていきますから、土地の評価が薄い物件は、年数が経つほど積算が痩せます。
つまり、狭い土地に高い物件を立てることで利回りを引き上げられる一方で、建物価値が亡くなった際に残る価値も少ないということ。RCであれば建物価値は比較的保たれるためありですが、木造の場合は老朽化後の苦労が透けて見える手法ですね。
戸数が少ないことの意味
総戸数は7戸〜11戸。 これは一棟としては小規模です。
11戸なら1戸空いて稼働率91%、7戸なら1戸で86%まで落ちます。20戸を超える物件なら1戸の空室は誤差の範囲です。
個数が少ないことは、大規模修繕のコスト割合が上がることを意味します。
屋上防水も外壁も、戸数で割れば1戸あたりの負担は大きくなります。物件価格が安かったとしても、毎月の修繕積立金の割合が収入に対して大きいということ。つまりキャッシュフローが積立金に圧迫されやすくなることを意味します。
間取りがワンルームではありません
同社の物件は1LDK、1SLDK、2LDK、3LDKが中心。ワンルームではなく、単身〜ファミリー向けです。
ワンルームは賃料単価が高い代わりに、入居期間が短く回転が速い。 そして一棟では、退去のたびにAD(広告料)、原状回復費、空室期間の逸失家賃が発生します。これらは表面利回りに一切現れないコストです。
1LDK以上の間取りは、入居期間が長くなる傾向があります。 回転が遅ければ、これらのコストの発生頻度が下がり、収支の安定という点で有利です。
表面利回りは全室ワンルームの方が高い一方、同社のような1ldk中心の方が手残りは大きくなります。
投資判断で気をつけるべきこと
竣工前の物件は数値はすべて「想定」
記事執筆時点において販売中の3件は、いずれも竣工予定が令和8年7月から令和9年1月です。 つまり建物がまだ存在しない段階で販売されています。
この場合、提示されるのはすべて「想定」です。
- 想定賃料は、実績ではありません
- 稼働率も、実績ではありません
- 入居者がどういう層になるかも、まだ分かりません
特に直近の金利状況や賃料状況は流動的です。デフレが終わり、インフレが起き始めている今、金利上昇による借入コストの増加、それに伴う適切な賃料設定は半年~1年でガラッと変わります。
投資家としては、半年後に購入する物件でも十分なイールドギャップが見込めなければ、投資判断は難しくなると考えています。
「アフターメンテナンスの少ないRC」を正確に理解する
同社はRC造の利点として「アフターメンテナンスの少ない鉄筋コンクリート造はオーナー様からも好評」としています。
木造と比べて修繕の頻度が低いのは、事実です。 構造体の耐久性も高く、法定耐用年数47年という長さが融資期間にも効きます。
ただし、大規模修繕の金額規模は木造とは桁が違います。
屋上防水、外壁の全面補修、給排水管の更新。RCの大規模修繕は、戸数が少なくても数百万円から、規模によっては千万円単位になります。 そして前述の通り、戸数が少ないほど1戸あたりの負担は重くなる。
「メンテナンスが少ない」は「メンテナンスが安い」ではありません。
「この建物の大規模修繕は、何年目に、いくらを想定していますか」
そして資材費と人件費が高騰しています。バッファを持たせた修繕計画が必要です。
収支シミュレーションに、抜けている費用はないか
- AD(広告料) — 入居を決めた仲介会社に払う実費。募集のたびに発生します
- 原状回復費 — 退去のたびに発生します
- 大規模修繕積立 — 10年目、15年目に必ず来ます
「ADと原状回復費、修繕積立は、この収支表に計上されていますか」
一棟物件においてこの項目のあるなしではシミュレーションが全然変わります。収支をよく見せようとする会社ほど、あえて抜けていることが多いです。事前に確認しましょう。
イールドギャップは足りているか
「実質利回り − 借入金利」が投資家の取り分です。
都心の新築RCは、利回りが構造的に低くなります。 RCは建築費が高く、都心の土地も安くない。加えてファミリー向け間取りは、ワンルームより表面利回りが低めに出ます。
RCの法定耐用年数47年により融資期間を長く取れるのは利点です。返済額が抑えられ、キャッシュフローに余裕が生まれる。ただしこれは、金利上昇に対する耐久力とは別の話です。
借入金利が上昇しても耐えられる試算になるか、十分な確認が必要です。
出口は見えているか
RCは木造より買い手が厚いという利点があります。次の買い手も長期の融資を組めるためです。
ただし、狭小地・少戸数の物件がどう評価されるかは別の問題です。 10年後、建物の評価が下がったとき、土地30坪〜80坪の価値でどこまで支えられるのか。
「10年後、この物件を買うのはどういう人ですか。その人はどの金融機関で、何年の融資を組めますか」
「御社が過去に開発した物件で、売却された事例はありますか。その価格と利回りは」
設立2009年、15年以上の実績がある会社なら、売却事例があるはずです。 過去の事例がそのまま再現されるわけではありませんが、確認しておくに越したことはないでしょう。
まとめ
株式会社グランドデザインは、2009年設立、日本橋に本社を置く投資用マンション開発会社です。「EDIT」シリーズとして、杉並・中野・文京・荒川・武蔵野で新築RCを供給しています。宅建業免許(4)が示す15年以上の営業実績と、13行に及ぶ取引銀行の幅は、率直に評価できる材料です。
都内好立地のRC物件の開発販売をメイン事業としており、一棟物件への投資を考えている方にとっては、検討に値する会社でしょう。
物件自体のクオリティが高いことは間違いありませんが、金利状況、賃料状況から、物件価格については慎重な判断が必要です。銀行から融資が降りたとしても、それはあなたの年収も加味された判断であり、物件単体で収支が回ることが保証されたわけではありません。
結局のところ、判断は物件と価格で決まります。判断に迷ったら相談に乗っていますので、お気軽にご連絡ください。
こんなことで迷っていませんか
- 提案されている物件の利回りは適正か
- 狭小地・少戸数の物件は、10年後に売れるのか
- 竣工前物件の想定賃料は、信用していいのか
- 金利上昇局面で買っても大丈夫か
- 勧められた金融機関は、自分にとって最善の順番か
- 法人化を検討すべきか
- 土地建物の按分は適正か。土地価格が不自然に高く設定されていないか
昨今の不動産市況は流動的であり、同じ物件でも、購入される方の財務状況によって買うべきかどうかの答えは変わります。
一棟を主軸に、区分も含めて経験してきた身として、ご相談いただければLINEまたはメールでアドバイスも可能です。
一棟を検討される際に本当に難しいのは、物件そのものより、どの物件を、どの金融機関で、どの順番で組むかという設計です。判断に迷われた際は、お気軽にお声がけください。



一棟アパートやRCマンションをメインに投資。
サラリーマン時代に不動産投資を開始し、家賃収入50万円/月を達成し独立。
独立後、不労収入を増やすべく不動産会社や金融機関を開拓し、不動産投資の拡大に成功。
一棟アパートやRCマンションをメインにしていますが、メリットあれば区分、別荘やタワマンも所有しています。
おおやが得意とする不動産投資
一棟アパートから始めるべきか、区分マンションか始めるべきか、不動産投資に興味がある方はどちらの相談にも乗れると思います。相談したい方はLINEで連絡くださいね。
不動産投資に大切なことは勉強ではなく、「順番と速度」です。
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