不動産投資において、検討中の企業がどのようなビジネスモデルを展開し、提案される建築プランや投資スキームにどのような構造的リスクが潜んでいるのかを事前に検証することは非常に重要です。
一建設(はじめけんせつ)株式会社は、飯田グループホールディングスの中核企業として、建売住宅や注文住宅で年間1万棟以上という圧倒的な供給実績を持つ大手パワービルダーです。戸建てのイメージが強い同社ですが、その圧倒的なノウハウと仕入れ力を活かした「一棟アパート」の建築請負事業も展開しています。
本記事では、一棟投資と区分投資の両方を実践する実務家(おおや)の視点から、一建設で一棟アパートを建てるメリットと、それに伴う「土地仕入れ・新築特有のリスク」について客観的に解説します。あわせて、投資を成功に導くための「融資の順番」「物件を見極める選球眼」についてお伝えします。
年間1万棟のスケールメリットが生み出す「圧倒的低価格」
一建設でアパートを建築する最大のメリットは、何と言っても「コストパフォーマンスの高さ(低価格)」にあります。
同社は戸建て分譲において全国トップクラスの実績を持っていますが、アパート建築においても、この戸建てで培われた圧倒的な「スケールメリット」がフルに活かされます。
- 建材・設備の大量仕入れ: 年間1万棟以上の家を建てるため、木材や水回り設備(キッチン、トイレ、ユニットバスなど)をメーカーから超低価格で大量に仕入れることができます。
- 中間マージンのカット: 下請けに丸投げするのではなく、自社チームで現場を直接管理する体制が整っているため、無駄な中間マージンを削減できます。
これらの強みにより、一般的な建築会社やアパート専業メーカーに依頼するよりも、建築費(上物代)を大幅に抑えることが可能です。投資において「初期費用(建築費)を抑えられる」ことは、そのまま利回りの向上に直結するため、非常に強力な武器となります。
土地の目利きが求められる「セミプロ向き」の投資手法
建築費が安いという強烈なメリットがある一方で、一建設を活用したアパート投資は、一般的な「投資用一棟アパート(土地付き建売)」を購入するのに比べて「セミプロ向き」の投資手法と言えます。
投資用の土地付きアパートを専門に販売する業者は、賃貸需要が見込める駅近の土地を自社で仕入れ、そこにアパートを建てて「パッケージ商品」として投資家に販売します。
しかし、一建設でアパートを建築する場合、基本的に「投資家自身がアパートを建てるための土地を用意する(探してくる)」必要があります。
すでに親から引き継いだ土地など(遊休地)を持っている地主であれば、一建設の建築費の安さを最大限に享受できます。
しかし、これから「土地から購入して新築アパートを建てる」という投資家の場合、難易度とリスクは跳ね上がります。なぜなら、その土地に「どのような間取りのアパートが入るか」「賃貸需要は本当にあるのか」「想定家賃はいくら取れるのか」を、自分自身の知識と選球眼で判断(目利き)しなければならないからです。土地探しを丸投げできる一般的な投資パックとは異なり、買い手側に一定の不動産リテラシーが求められます。
インフレ時代の新築アパート投資に潜むリスク
さらに、現在のマクロ経済の状況を踏まえると、新築アパート投資には冷静に対処すべきいくつかのハードルが存在します。
1. 建築費・土地代の高騰による利回りの低下
一建設はスケールメリットによってコストを抑えられるとはいえ、昨今の急激な物価高・インフレの影響からは逃れられません。資材価格や人件費、あるいは土地の価格自体がどんどん値上がりしているため、トータルで見れば投資総額(物件価格)は上昇傾向にあります。投資総額が上がれば、当然ながら表面利回りは低下します。
2. 「稼働率が見えづらい」新築特有のリスク
中古アパートであれば、「現在満室であるか」「過去にどのくらいの家賃で入居付けできていたか」という実績(稼働率)がデータとして見えます。
しかし、自分で土地を探してゼロから新築する場合、「本当に満室になるのか」は実際に建ってみるまで分かりません。新築プレミアムの家賃で募集をかけたものの、想定通りに入居者が集まらず、初年度から空室リスクに直面する可能性も覚悟する必要があります。
3. 家賃上昇の波に乗れる「立地」かどうかがすべて
インフレによって物価が上がり始め、それに伴い家賃相場も徐々に上昇するフェーズに入りつつあります。
しかし、家賃上昇は始まったばかりであり、現在の建築費の高さに対して、現時点での利回りは低く見えがちです。だからこそ、「将来のインフレ・家賃上昇についていける(家賃を上げても入居者が付く)強い立地」を選び抜く選球眼が、これまで以上に厳格に求められています。
高年収層が陥る「一棟アパートと節税」に要注意!
高年収の方の中には、一棟アパート投資(特に木造)を「節税目的」で検討される方が多くいらっしゃいます。たしかに木造アパートは減価償却を大きく取れるため、一定の節税効果があるのは事実ですが、ここには客観的に見ておくべき重大な落とし穴があります。
まず、節税によって帳簿上の所得(年収)を大きく下げてしまうと、金融機関からの「個人の評価(与信)」も同時に下がります。結果として次の融資が引きにくくなり、不動産投資の本来の目的であるはずの「資産拡大」の足枷となってしまいます。
また、減価償却による節税は、あくまで「課税の繰り延べ」に過ぎません。毎年経費を計上して物件の帳簿価格が下がった分、将来物件を売却する際にはそれが「譲渡益(利益)」として乗っかってくるため、結局は売却の出口でまとまった税金を支払うことになります。
もちろん、個人の所得税率(最大55%)と売却時の長期譲渡所得税率(約20%)の「税率の差」の分だけ得をするケースはあります。しかし、ほとんどの方にとってその差額はあまり大きな金額にはならず、節税のためだけに一棟投資という多額の借金と空室リスクを背負うのは、割に合わないと言わざるを得ません。
さらに、減価償却が終わって節税効果が切れる頃には、税金対策のために「もう一度別の物件を買わなければならない」というループに陥りがちです。
節税で浮いた手元の資金を、次の投資へ有効に回して増やしていける計画性があれば問題ありませんが、還付金をまるで「ボーナス」のように浪費してしまうと、後で多額の税金や修繕費が請求された際に地獄を見ることになります。
適切な税務意識を持つことは重要ですが、目先の節税ばかりに気を取られると、本質的な「資産拡大」という目的を決して達成することはできません。
不動産投資は「目的」に合わせて物件種別を選ぶ
不動産投資を始めるにあたり、新築・中古の一棟物件を選択するか、都心の区分マンション等を選択するかは、投資目的と自己資金の状況によって分かれます。
一棟収益物件(目的:資産保全と事業規模の拡大)
- 【メリット】 土地の持ち分が大きく、リノベーション等のバリューアップや修繕のタイミングをオーナー自身の裁量で決定できます。複数戸を所有するため、区分と違って一部屋の退去で収入がゼロになるリスクを分散でき、賃貸経営は安定しやすい傾向があります。
- 【リスク】 取得コストの上昇による利回りの低下や、出口(売却時)における流動性の低さを考慮した緻密な資金計算が必要です。大規模修繕費用を自身で準備するため、資金管理に高い計画性が求められます。また、表面利回りには空室率が加味されていませんので、現実的な稼働率によるシミュレーションが重要です。
都心の区分マンション(目的:手間の軽減と手堅い資産形成)
- 【メリット】 都心の安定した賃貸需要を背景に、長期間の空室リスクを抑えられます。建物の修繕は管理組合が主導して計画的に行うため、個人で突発的な大規模修繕費を負担する可能性は低くなります。市場での流動性(売りやすさ)にも優れています。
- 【リスク】 購入価格が高いため毎月のキャッシュフローは大きく出にくく、時間をかけて残債を減らし、純資産を形成していく中長期的な視点が必要です。
一建設株式会社での一棟投資に向いている人・向いていない人
向いている人の条件
- 物件価格に対して十分な自己資金(頭金)を投入し、借入比率を下げて低利回りでも安全に事業を回せる経済的体力がある方
- 建築費高騰による低利回りをカバーするため、自ら運用状況を把握し、将来的な家賃引き上げを前提とした経営に取り組める方
- 土地から探してプランニングする手間に労力を割け、自らの目利きで賃貸需要を客観的に分析できる「セミプロ」志向の方
見送るべき人の条件
- 自己資金にゆとりがなく、フルローンで購入した上で、毎月のキャッシュフローに大きく余裕を持たせたい方
- 売却時の残債リスクや譲渡税を逆算せず、目先の「節税」だけを目的にしている方
- 「土地探しから客付けまで、業者がすべてやってくれる」と思考を止め、賃貸経営の変動要素を事業者として引き受ける認識が薄い方
まとめ
一建設株式会社は、年間1万棟以上の圧倒的な戸建て供給実績とスケールメリットを活かし、ローコストで一棟アパートの建築を請け負うパワービルダーです。投資家自身で土地を用意するハードルはあるものの、建築費を大幅に抑えて利回りを向上させたい方にとっては強力なパートナーとなる点が特徴です。
おおやの視点
一方で、一棟投資はまとまった自己資金があり、ある程度の運用のボラティリティに耐えられる経済的な体力が必要です。もし、あなたが現役世代のサラリーマンで、これから資産形成を進めていきたいと考えているなら、区分マンションの方が手堅い印象です。私自身、一棟投資と区分投資の両方を経験してきましたので、一棟でも区分でもフラットな目線でアドバイスが可能です。すでに一建設で検討しているアパートプランや、候補となる土地があるなら、一棟投資経験者として客観的に評価することも可能です。あなたの年収や目的に応じて、今は手堅く区分を買うべきか、それとも最初から一棟を狙うべきか。投資の「正しい順番」を知りたい方や、今提案されている物件に見落としがないか不安な方は、LINEで連絡をください。一切のポジショントークなしで、客観的に戦略と物件の相談に乗りますよ。



一棟アパートやRCマンションをメインに投資。
サラリーマン時代に不動産投資を開始し、家賃収入50万円/月を達成し独立。
独立後、不労収入を増やすべく不動産会社や金融機関を開拓し、不動産投資の拡大に成功。
一棟アパートやRCマンションをメインにしていますが、メリットあれば区分、別荘やタワマンも所有しています。
一棟アパートから始めるべきか、区分マンションか始めるべきか、不動産投資に興味がある方はどちらの相談にも乗れると思います。相談したい方はLINEで連絡くださいね。
不動産投資に大切なことは勉強ではなく、「順番と速度」です。
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