「IDCのパロスという新築アパートを勧められているのですが、どうでしょうか」
同社のパロスは、狭小地や変形地といった安く仕入れられる土地に、デザイン性の高いアパートを建てて利回りを確保する思想で設計されたアパートです。販売価格を1億円以下に抑え、取り組みやすいグロスになっているため、検討されている方も多いのではないでしょうか。
本記事では同社のアパート商品『パロス』を投資家目線で分析していきます。
パロスとIDCの基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 会社名 | 株式会社アイ・ディー・シー(IDC) |
| 設立 | 平成11年(1999年)11月29日 |
| 代表取締役 | 安田 博一 |
| 資本金 | 3,000万円 |
| 所在地 | 大阪府吹田市広芝町10-35 江坂南口第二ビル6階 |
| 事業内容 | 不動産賃貸・売買仲介業、賃貸不動産管理業・プロパティマネジメント業、リロケーション事業、不動産コンサルティング業、不動産開発事業、リフォーム事業、リノベーション事業、コインパーキング事業、損害保険代理店業 |
| 宅地建物取引業 | 大阪府知事免許(6)第047317号 |
| 賃貸住宅管理業 | 国土交通大臣(2)第003286号 |
| 加盟団体 | 大阪府宅地建物取引業協会/日本賃貸住宅管理協会 |
| 親会社 | 株式会社robot home(東証・1435) |
株式会社アイ・ディー・シーの不動産ブランドは3つあり、
- 戸建賃貸住宅の「エクリュ」
- デザイナーズアパートの「パロス」
- リノベーションの「リリアン」
という構成になっています。
本記事ではアパートブランド「パロス」について深ぼって参ります。パロスの主な訴求は下記4点にまとめられています。
- 1億円以下の少額投資で資産形成の第一歩を
- 高家賃・高入居率で高利回りを実現
- 土地付新築アパートで安定経営を
- 物件を差別化する唯一無二のデザイン性
親会社はRobot Home(旧TATERU)
IDCは2021年12月、当時のRobot Home(現・株式会社robot home、東証1435)が全株式を取得して100%子会社となりました。
そしてこのrobot homeは、旧・株式会社TATERU(さらにその前は株式会社インベスターズクラウド)です。
TATERUはといえば2018年ごろに話題になった会社ですね。社名変更理由もそうしたイメージの刷新を狙っているのでしょうか。
IDCのアパートブランド「パロス」の特徴
ここからはIDCのパロスブランドの特徴について解説していきます。
物件価格が1億円以下
同社は、不動産投資が初めての方でも融資が取りやすいよう1億円以下の商品を揃えているとしています。
金額が小さければ審査は通りやすく、自己資金の負担も軽い。銀行から求められる年収要件も下がるため、参入ハードルは他社よりも低めです。また、リセール時にも間口を広く取れることから、流動性も比較的高いといえます。
出口が見えやすい点は不動産投資では高評価ですので、この点は率直に良い点といえます。
一方、「買いやすい=儲かる」ではない、という点も重要です。
不動産投資で重要なことは、買える物件を買うのではなく、儲かる物件を買う、という視点です。どうしても一棟投資の場合は買える物件という視点から入ってしまう方が多いですが、投資の目的を忘れないようにしてくださいね。
狭小地・変形地などの安価な土地に建設
これは、パロスの最大の特徴ですね。
同社は、狭小地、変形地といった取得コストを抑えられる土地に、デザイン性の高い物件を建てるといういう戦略のもと、同ブランドを展開しています。
この戦略は理にかなったもので、周辺相場と同じ家賃だとしても土地取得コストを下げることで、利回りを引き上げることが可能になります。特に土地価格が高騰している都心部ほど恩恵を受けやすい戦略ですね。
一方で、変形地、狭小地のアパート経営は、資産性に課題があります。
金融機関は土地の積算価格を評価しますが、狭小地や変形地は評価が伸びにくい傾向があります。建物の価値が減っていく一方で、土地の評価が支えにならなければ、次の買い手は融資を組みにくくなり、結果的に売るには値下げが必要になる可能性があります。
仮に長期保有して上物を解体することになった場合、残った土地自体の評価は伸びにくく、結果的に残りづらくなります。
そして、建て替えや再建築の制約の可能性もあります。 変形地や狭小地には、接道条件や建ぺい率・容積率の制約が伴うことがあります。建物の寿命が尽きたとき、何が建てられるのかは確認しておくべきです。
総合すると、資産形成や資産保持というよりも、キャッシュフロー重視の不動産投資という側面が強いということですね。
同社のパロスシリーズを購入する際は、
- この土地の積算価格はいくらか。土地値と建物値の内訳は?
- 周辺の整形地と比べて、土地の単価はどの程度安いのか?
- 接道条件、建ぺい率・容積率、再建築の可否
- 同じシリーズで、これまでに売却された物件はあるか。その時の築年数と価格はいくらだったか
この4点をしっかりと確認する必要があるでしょう。
新築は経費がかかりにくく、出口が作りやすい
同社は土地付新築アパートを勧める理由として、新築は経費がかかりにくく、将来的に売却の出口が作りやすいからとしています。
確かに新築は経費がかかりにくいのはその通りです。一方で、出口は事前に慎重なシミュレーションをしておいた方が良いでしょう。
木造アパートの法定耐用年数は22年です。あなたが10年後に売るとき、買い手が使える融資期間は残り12年程度になります。返済期間が短ければ返済比率が上がり、キャッシュフローは薄くなる。つまり買い手が絞られます。
そして新築は、新築プレミアムが剥がれた後の賃料下落が避けられません。竣工から数年で最初の入居者が入れ替わるとき、どうしても家賃はいくらか下がる傾向にあります。
結論、中古と比較すれば「出口が作りやすい」のは事実かもしれませんが、その出口で物件がいくらで売れるのか、という数値的なシミュレーションはしっかりと行うべきです。

一棟アパートは持ち続けるという選択肢もあります。持ち続けて入居者に選ばれ続ける物件か、という視点も重要ですね。
「唯一無二のデザイン性」
パロスは一棟ごとにデザイナーが設計し、同じデザインの物件はないとしています。入居者への差別化と、将来の購入希望者への差別化を狙うという説明です。
一方でデザイン性が強い物件は、時代とともに時代に合わなくなるリスクがあります。よほど尖ったデザインでなければ過度な心配は不要ですが、デザイン性を理由に将来にわたって高い資産価値を保ち続けるという過度な期待は持たない方が良いでしょう。
施工事例から読めること
同社サイトに掲載されているパロスの施工事例は、パロス苦楽園、パロス守口、パロスGT塩屋、パロスGT江坂など。兵庫県西宮市、大阪府守口市、神戸市、大阪府吹田市といった関西圏が中心です。
そして掲載されている事例の日付は、確認できる範囲で2020年4月が直近です。
実際の供給が続いているはずなので、サイトの更新が止まっているのかもしれません。
特に2022~2023年頃から、不動産の施工コストは右肩上がりになっており、日本の都市部の不動産価格も右肩上がりです。
現在も1億円以下での販売が可能なのか、その場合は、どういったコストカット施策を行っているのか、こういった点をしっかりと確認しましょう。
物件を見極める5つの視点
最後に、相手が誰であっても変わらない物差しを整理します。
1. 想定家賃は、実現するのか
新築の場合、まだ入居者はいません。提示されているのは「想定家賃」であって、実績ではありません。
特に昨今は、インフレによる家賃上昇が顕著ですが、新築の場合はすでにそうした家賃上昇を織り込んだ価格で販売されることが多いです。
提示された賃料で賃貸が決まらなければ、それは利回りが落ちることを意味します。賃料の根拠を求めるとともに、周辺相場の確認も行いましょう。
2. そのエリアのAD相場を知っているか
ADは入居を決めた仲介会社に支払う実費で、エリアによって相場が変わります。 一棟では戸数の分だけ退去が発生し、AD・原状回復費・空室期間の逸失家賃を合算すると、1回の入れ替えでその部屋の年間家賃の相当割合が消えます。これらは表面利回りに一切現れません。
新築は当初こそ空室が出にくいものの、数年後から必ず回転が始まります。
3. シミュレーションに修繕積立が入っているか
「ADと原状回復費、修繕積立は、この収支表に計上されていますか」と尋ねてください。計上されていなければ、それは実現しない数字です。
新築だから修繕は不要、ではありません。 10年目、15年目に必ず来ます。そして資材費と人件費が高騰している現在、将来の修繕費は過去の相場では収まりません。
4. イールドギャップと流動性は足りているか
イールドギャップは「実質利回り − 借入金利」。 求められる水準は局面によって動くため、本稿では基準値を示しません。「かつてこの程度で回っていた」という感覚は、今、最も危険な物差しです。
直近は日銀の政策金利が上昇基調ですから、あまりにギリギリのギャップだと、キャッシュフローがなくなってしまうリスクがあります。
5. インフレに乗れるエリアか
金利が上がる局面では、賃料も上がるエリアでなければ収支は悪化する一方です。家賃は契約更新や入居者入れ替えのタイミングでしか改定できず、反映は数年遅れます。
その市町の人口・世帯数の動態と、過去数年の賃料推移を確認してください。
まとめ
株式会社アイ・ディー・シーは1999年設立、大阪・江坂に本社を置く不動産会社で、デザイナーズアパート「パロス」を含む3ブランドを展開しています。2021年12月より東証上場の株式会社robot homeの100%子会社です。
パロスは、狭小地・変形地という安く買える土地に、デザイン性の高いアパートを建てて高家賃を取り、1億円以下で融資も組みやすいという設計になっています。
そのうえで、本稿で申し上げたかったことは三つです。
土地の性質は、資産性とのトレードオフです。購入価格に占める上物の割合が上昇することで、経年劣化による資産の下落率は上がってしまいます。
出口の作りやすさと出口でいくらで売れるかは別問題です。 木造の耐用年数は22年。10年後に市場でどのくらいで販売できそうか、事前にざっくりとでも把握すべきでしょう。もしくは持ち続けるという選択肢もありです。
同社の掲げる独自性は、メリットとデメリットを併せ持ちます。
パロスの方針を見る限りだと、資産性よりもキャッシュフローを重視し、保有し続ける前提で購入するならアリだと思います。もちろん同じ物件は二つと存在しませんので、物件ごとの見極めは必要ですよ。
こんなことで迷っていませんか
- 提案されている物件の利回りは適正か
- 想定家賃は、入居者が入れ替わった後も維持できるのか
- 金利上昇局面で買っても大丈夫か
- 勧められた金融機関は、自分にとって最善の順番か
- 出口戦略は見えているか
- 法人化を検討すべきか
- 土地建物の按分は適正か。土地価格が不自然に高く設定されていないか
昨今の不動産市況は流動的であり、同じ物件でも、購入される方の財務状況によって買うべきかどうかの答えは変わります。
一棟を主軸に、区分も含めて経験してきた身として、ご相談いただければLINEまたはメールでアドバイスも可能です。
一棟を検討される際に本当に難しいのは、物件そのものより、どの物件を、どの金融機関で、どの順番で組むかという設計です。判断に迷われた際は、お気軽にお声がけください。


一棟アパートやRCマンションをメインに投資。
サラリーマン時代に不動産投資を開始し、家賃収入50万円/月を達成し独立。
独立後、不労収入を増やすべく不動産会社や金融機関を開拓し、不動産投資の拡大に成功。
一棟アパートやRCマンションをメインにしていますが、メリットあれば区分、別荘やタワマンも所有しています。
一棟アパートから始めるべきか、区分マンションか始めるべきか、不動産投資に興味がある方はどちらの相談にも乗れると思います。相談したい方はLINEで連絡くださいね。
不動産投資に大切なことは勉強ではなく、「順番と速度」です。
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