「祥エステートオフィスからRCの一棟を提案されているのですが、どうでしょうか」
祥エステートオフィス株式会社は2006年開業、東京都新宿区高田馬場に本社を置く収益不動産会社です。そして特筆すべきは、同社自身が11棟の収益不動産を保有し、それを公開していることです。
投資用不動産業界で20年続き、自社ビルを建て、自ら家主でもある。 同社自身も発信していますが、この実績がまさに同社が誠実に事業を展開してきた証明とも言えます。
そのうえで、この会社の物件を検討する際には、押さえておくべき論点が3つあります。
- RC一棟という商品特性
- 自社保有と販売の線引き
- 出口の設計
この3点です。
祥エステートオフィスとはどんな会社か
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 会社名 | 祥エステートオフィス株式会社 |
| 開業 | 平成18年(2006年)11月 |
| 代表者 | 杉山 智子 |
| 所在地 | 東京都新宿区高田馬場4-4-23 SHO-ESTATE.BLD |
| 事業内容 | 収益不動産の売買・仲介、賃貸管理、資産形成コンサルティング |
| 営業時間 | 9:30〜18:30(土日・祝祭日休業) |
| 上場区分 | 未上場 |
同社は自らを「家賃収入を目的とした収益不動産を購入・運営したいお客様のための不動産会社」と定義しています。購入した不動産の運営サポートと、長期的な資産形成のコンサルティングを掲げています。
代表挨拶では、金融機関の動向や経済が多大に影響を及ぼす不動産市場において「お客様の成功=会社の成功」を経営理念として2006年11月に開業。
経済の波にのまれ何度も大変な時期もあったが、ピンチをチャンスに変えながら変化に対応し続け、毎年利益を増やし続ける経営を貫き、平成31年4月に念願の自社ビルが完成したと述べられています。
2006年開業ということは、リーマンショックも経験しているということ。 投資用不動産の会社が最も倒れた時期を越えて20年続いていること、そして自社ビルを建てるに至ったことは、それ自体が十分な実績です。
なお同社は女性向けの不動産情報メディア「Woman Estate」も運営しており、代表の杉山氏はメディア取材にも積極的に応じる姿勢を示しています。
祥エステートオフィスは1棟を自社保有
この会社を評価するうえで、最も有力な材料となるのが、11棟を自社保有し、それを公開している点です。
公開されている物件は以下の通り。
| 物件名 | 所在 | 構造・戸数 |
|---|---|---|
| 本社ビル(SHO-ESTATE.BLD) | 新宿区高田馬場4-4-23 | RC造 14戸 |
| TOKO丸大山 | 板橋区大山金井町 | RC造 9戸 |
| TOKAI和2 | 2022年新築 | RC造 6戸 |
| ラ・ブレわらび | 川口市西並木町 | RC造 7戸 |
| ラ・ブレ大山 | 板橋区栄町 | RC造 20戸 |
| エスポワール蕃瀬 | 千葉県船橋市本郷 | RC造 17戸 |
| ラ・ブレ戸田公園 | 戸田市上戸田 | S造 8戸 |
| サンライズ田無土 | 西東京市芝久保町 | RC造 5戸 |
| ルネス高ヶ坂 | 埼玉県東松山市箭弓町 | RC造 40戸 |
| 川口ハウス | 川口市芝 | RC造 24戸 |
| 日本橋(別館) | 中央区日本橋小舟町 | RC造 10戸 |
この物件一覧から読み解けることは3つあります。
一つ目は、同社は一棟物件がメインですが、その中でも木造アパートではなくRC物件がメインとなります。
二つ目は、都心の大型物件ではなく、中小規模のRCレジデンスが中心ということ。
三つ目は、エリアが「都内+埼玉南部+千葉」の実需圏ということ。 新宿区、中央区、板橋区、西東京市といった都内と、川口市、戸田市、東松山市の埼玉、船橋市の千葉。都心5区に集中しているわけではなく、生活圏の物件が並びます。
祥エステートオフィスの評判・口コミはあるのか
社名で検索しても、投資家による口コミはほとんど見当たりません。 顧客の絶対数が少なく、購入金額を実名で公開する投資家もいないためです。
ただ、同社の場合は自社保有物件を公開しているため、投資家としては評判よりも会社の姿勢がよく見えると言えますね。
論点1|RC一棟という商品特性を理解する
同社の主力はRC一棟です。木造アパートとは、投資の性質がまったく違います。
融資期間は木造よりも長い
RC造の法定耐用年数は47年。木造の22年、鉄骨造の27〜34年と比べて格段に長く、築20年のRCでも、残存27年をベースに融資期間を設定できる可能性があります。
融資期間が長ければ毎月の返済額が抑えられ、キャッシュフローに余裕が生まれます。木造築古で「利回りは高いが融資期間が短くて手残りが薄い」という問題は、RCでは起きにくいのが特徴です。
購入後、売却を検討する際にも売却先に同様のメリットがあるため、リセールの面からみてもRC物件は有利になります。
一方で、利回りは木造より低くなります
RCは建築費が木造より高く、そのぶん価格に反映されます。 一方でワンルームで取れる賃料は、物件価格ほどの差が開かないため、同じエリアであれば、RCの方が利回りは低くなるのが一般的です。
近年、日銀は金利引き上げを進めており、これによってイールドギャップ、すなわち「実質利回り − 借入金利」が薄くなってきています。 利回りが低ければ、この差はさらに薄くなります。
金利上昇局面でも耐えうる利回りなのか、また金利上昇はマクロ経済的には、賃料上昇を伴うインフレ局面とも言えるため、将来的に賃料を引き上げられる物件・エリアかどうかの確認も必要です。
大規模修繕の規模が、木造とは桁違いです
RCの大規模修繕は、木造アパートとは金額の規模が違います。屋上防水、外壁の全面補修、給排水管の更新、エレベーターがあれば更新工事。戸数が多ければ、数千万円規模になります。
同社は過去に「新築マンション・大規模修繕検討の方必見」という見学会も開催しており、この領域を課題として認識していることが読み取れます。
そのうえで、下記3点についても事前に確認した方が良いでしょう。
- この物件の大規模修繕は、いつ、何が、いくらかかる想定か
- 前回の修繕はいつ、どこまで行われたか。記録はあるか
- 修繕積立は、提示された収支シミュレーションに計上されているか
資材費と人件費が高騰している現在、過去の相場で組まれた修繕計画は当てになりません。 10年後の見積もりが想定を大きく上回る可能性も考慮し、余裕のあるシミュレーションを組めるかどうか、確認しましょう。

大規模修繕直前の物件を購入する場合は、しっかりとした確認が必要です。
論点2|自社保有と販売の線引きはどこにあるか
同社は11棟を保有する家主であり、同時に収益不動産を販売する会社です。
もし同社から提案を受けているのであれば、自社で持ち続ける物件と、投資家に売る物件の線引きは、どこにあるのかは確認すべきです。
自社基準に合わない物件を顧客に押し付けるような場合も、可能性としては否定できませんからね。
逆に同社の保有基準と顧客への販売物件の基準が同等なら安心できる点になります。
言ってしまえば、あなたと同社は物件売買においては利益相反の関係であり、購入後はオーナーとしてライバルの立場になるわけですから、そう言った関係の相手から物件を購入する際は、なぜこの物件なのか、という明確な理由は求めるべきでしょう。
論点3|出口の設計|「最短3日」と「じっくり」の二本立て
同社は不動産の販売だけでなく、買取・売却サービスも行っています。
早く売りたい売主には、場合によっては最短3日以内での買取も可能。高く売りたい売主には、仲介を提案する——この二本立てが示されています。
売却サービスについては非常に一般的な内容になっているので詳しくは語りません。
買取の場合は一般的に相場よりも低い価格で手放すことになりますが、同社がメインの一棟RC物件は、不動産の中でも流動性の低い部類にはいるため、どうしても早く売りたい場合は買取も十分に選択肢に入ります。
物件を見極める5つの視点
最後に、相手が誰であっても変わらない物差しを整理します。
1. その「満室」は本物か
満室にすること自体は、条件次第で可能です。フリーレントを長く付ける、AD(広告料)を厚く出す、初期費用をゼロにする——こうした条件で埋めた場合、契約賃料は高くても実質収入は下がり、次の更新で維持できません。
各室の賃貸借契約の開始時期(直近で一斉に埋まっていないか)、契約時の募集条件、周辺同種物件の募集賃料を確認してください。
2. そのエリアのAD相場を知っているか
ADはエリアによって相場が変わります。一棟では戸数の分だけ退去が発生し、AD・原状回復費・空室期間の逸失家賃を合算すると、1回の入れ替えでその部屋の年間家賃の相当割合が消えます。これらは表面利回りに一切現れません。
同社の物件は都内から埼玉・千葉まで幅があり、AD相場は地域ごとに異なります。
3. シミュレーションに修繕積立が入っているか
「ADと原状回復費、修繕積立は、この収支表に計上されていますか」と尋ねてください。計上されていなければ、それは実現しない数字です。
RCの場合、特に修繕積立金の項目のあるなしはではシミュレーションが大きく変わります。必ず確認しましょう。
4. イールドギャップと流動性は足りているか
求められるイールドギャップの水準は局面によって動くため、本稿では基準値を示しません。 金利が下がる局面では薄いギャップでも時間が味方をしましたが、上昇局面ではある程度余裕がないと、収支が赤字に転落する可能性もあります。
流動性については、RCは木造より買い手が厚いという利点があります。次の買い手も長期の融資を組めるためです。とはいえ、グロスは大きく、かつ実需層は買い手にならないため、不動産全体としては流動性は低めとなります。
5. インフレに乗れるエリアか
金利が上がる局面では、賃料も上がるエリアでなければ収支は悪化する一方です。家賃は契約更新や入居者入れ替えのタイミングでしか改定できず、反映は数年遅れます。
その市町の人口・世帯数の動態と、過去数年の賃料推移を確認してください。板橋区と東松山市では、答えはまったく違います。
まとめ|自ら家主である会社だからこそ、家主の目で問う
祥エステートオフィス株式会社は、2006年開業、リーマンショックを越えて20年続き、自社ビルを建て、11棟のRC収益不動産を自ら保有する会社です。会社としては非常に素晴らしい実績です。
一方で、同社がこの20年をサバイブしてきたことと、あなたが提案されている投資の成否は直接的な連動はありません。
提案された物件ごとに判断が必要になります。
主に確認すべき点は3つ。
- RC一棟は、木造アパートとは別の投資
融資期間を長く取れる利点がある一方、利回りは低く、大規模修繕の金額規模は桁違いです。修繕計画と積立の計上を、必ず確認してください。 - 自社保有と販売の線引き
そして同社の保有物件の実績利回りと、提案物件の利回りを比べてください。 比較の基準が公開されているのは、この会社の強みでもあります。 - 出口は「速度」と「価格」のトレードオフ
最短3日の買取と、じっくり募る仲介。両方の選択肢があるのはよいですが、売却時には必ず他社査定も取ってください。
結局のところ、判断は物件と価格で決まります。会社の年数でも、保有棟数でもありません。
こんなことで迷っていませんか
- 提案されている物件の利回りは適正か
- RCの大規模修繕、いくら見込んでおけばいいのか
- 金利上昇局面で買っても大丈夫か
- 勧められた金融機関は、自分にとって最善の順番か
- 出口戦略は見えているか
- 法人化を検討すべきか
- 土地建物の按分は適正か。土地価格が不自然に高く設定されていないか
昨今の不動産市況は流動的であり、同じ物件でも、購入される方の財務状況によって買うべきかどうかの答えは変わります。
一棟を主軸に、区分も含めて経験してきた身として、ご相談いただければLINEまたはメールでアドバイスも可能です。
一棟を検討される際に本当に難しいのは、物件そのものより、どの物件を、どの金融機関で、どの順番で組むかという設計です。判断に迷われた際は、お気軽にお声がけください。


一棟アパートやRCマンションをメインに投資。
サラリーマン時代に不動産投資を開始し、家賃収入50万円/月を達成し独立。
独立後、不労収入を増やすべく不動産会社や金融機関を開拓し、不動産投資の拡大に成功。
一棟アパートやRCマンションをメインにしていますが、メリットあれば区分、別荘やタワマンも所有しています。
おおやが得意とする不動産投資
一棟アパートから始めるべきか、区分マンションか始めるべきか、不動産投資に興味がある方はどちらの相談にも乗れると思います。相談したい方はLINEで連絡くださいね。
不動産投資に大切なことは勉強ではなく、「順番と速度」です。
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