不動産投資において、検討中の企業がどのようなエリアで、どのようなコンセプトの物件を開発しているのかを事前に検証し、そのビジネスモデルが自分の投資目的に合致しているかを見極めることは非常に重要です。
株式会社田村ビルズは、山口県(下関など6都市)を中心に展開し、サラリーマン投資家をターゲットにした新築一棟アパート(LFBアパートメントなど)の企画・販売を手掛ける不動産会社です。
本記事では、年間家賃収入2000万円(手取り)を運用する実務家(おおや)の視点から、田村ビルズの物件の強みを整理しつつ、地方都市での新築一棟投資における「土地の資産価値」や「出口戦略(リセール)」の客観的なリスクについて解説します。
田村ビルズ(LFBアパートメント)の強みと特徴
田村ビルズが提供する新築アパートは、サラリーマン投資家にとって魅力的に映るいくつかの明確な強みを持っています。
1. デザイン性と「防音」にこだわった高いクオリティ
同社の物件の最大の特徴は、入居者に選ばれるための「質の高さ」です。洗練された外観や内装デザインに加え、木造アパートの弱点である「音の問題(遮音性・防音性)」にこだわった設計がなされており、物件自体のクオリティは非常に高いと評価できます。
2. サラリーマンでも手が届く「1億円強」の価格設定
新築の一棟アパートでありながら、物件価格が1億円強に抑えられている点も特徴です。これはターゲットとしている山口県・下関エリアなどの「土地の安さ」が起因しており、一般的なサラリーマン投資家でも融資を引きやすい価格帯となっています。
3. 「初回満室保証」と「滞納保証」による初期の安心感
同社のサービスには、一般的なサブリース(一括借り上げ)の記載はありませんが、「初回満室保証」や「家賃滞納保証(6ヶ月)」といったサポートが用意されています。新築時の立ち上げリスクや、万が一の滞納リスクをカバーしてくれるため、投資初期の心理的ハードルを下げる工夫がなされています。
無理にサブリースに持ち込まない点も、個人的には高評価です。
地方の一棟投資に潜む「資産価値」の残酷な現実
物件のクオリティが高く、初期の保証が手厚い一方で、投資家として冷静に算定しなければならないのが「地方・郊外という立地」に起因する構造的なリスクです。
表面利回り7%と「高騰するAD(広告料)」のギャップ
同社のHPを見る限り、同社の物件は新築で表面利回り7%前後を見込むとされています。物件価格が高騰している現在においては、若干利回りは高めな印象です。
ただ、問題は「実質利回り」です。 首都圏エリアと比較して、地方都市はどうしても賃貸需要(パイ)が限られます。そのため、入居者を決めるために仲介業者へ支払う「AD(広告料)」の相場が数ヶ月分と高くなる傾向があります。表面利回りが高くても、退去のたびに多額のADや原状回復費が飛んでいくと、手元に残るキャッシュは想定以上に少なくなります。
「土地が安い」ことの裏返しと、リセール(出口)の難しさ
物件価格が1億円強と安い最大の理由は「土地の価値が低いから」です。 不動産の価値は「建物」と「土地」に分かれます。建物の価値は築年数の経過とともに下落し、いずれゼロになりますが、土地の価値は残ります。 しかし、もともと土地値が低い地方都市の場合、ローンを完済した後に残る「純資産(土地の価値)」が極めて小さくなります。
さらに人口減少が進めば、将来的に土地の価値がさらに下がるリスクも否定できません。いざ売却しようとしても、次の買い手がつきにくい(リセールが見えづらい)という致命的な弱点を抱えています。
現役世代の「1棟目・2棟目」としてはリスクが高い
こうした構造から、同社の物件は「純資産を拡大していく資産形成」というよりも、「目の前のキャッシュフローを増やすこと」に大きく偏った投資モデルと言えます。
すでに老後が見えており、ローン期間中に手元の現金収入を増やしたい定年間近のサラリーマンや、すでに複数物件を保有していて「地域分散」の目的で買い増す方にはアリな選択肢です。 しかし、これから資産を築いていく現役世代(20代〜40代)が、なけなしの与信枠を使って「1棟目や2棟目」として検討するには、出口が見えないリスクが大きすぎると言わざるを得ません。
その一棟投資は大丈夫?見落としやすい4つのリスク
一棟物件への投資を検討するにあたり、投資家が見落としがちな特有のリスクが存在します。物件を評価する際は、以下の4つのポイントがクリアできているか必ずチェックしてください。
1. 利回りだけでなく「空室リスク」を直視する
業者が提示する利回りの多くは、満室を想定した「表面利回り」です。都心部と地方では利回りが倍ほど違うことがありますが、地方の高利回りは「空室率の高さ」を物件価格の引き下げで帳尻合わせしている結果に過ぎません。目先の利回りだけでなく、そのエリアの正確な賃貸需要を把握することが重要です。
言ってしまえば表面利回りには空室リスクが加味されていないのです。
2. 修繕積立金を無視したシミュレーションは信用しない
一棟物件は12〜15年に一度、多額の費用がかかる大規模修繕が必要になるため、毎月一定額を積み立てておくのが一般的です。不動産業者が示すキャッシュフローの中に修繕積立金が入っていない場合は、過度に物件の収支を良く見せようとしていると考えられます。小さく注釈で書いているような業者はお断りすべきです。
3. 設備は故障するもの
新築であっても、10年後、20年後に給湯器、エアコンなどの修理が必要になります。そのほか、入居者入れ替え時のクリーニング費用などもあり、そうした費用がシミュレーションに加味されているかもしっかり確認しましょう。
細かいですが、チリツモです。修繕費用を見込んでいないと、将来的に自己資金から多額の持ち出しが発生し、経営が立ち行かなくなります。
4. エリアごとの「AD(広告料)」と隠れたコストを把握する
入居者募集を管理会社に依頼する際、家賃とは別に「AD(広告費)」が発生します。都心の一等地であれば家賃の1ヶ月分程度ですが、賃貸需要が弱い地方エリアでは5ヶ月分以上払わないと客付けしてもらえないこともあります。また、2年ごとの更新手数料などの隠れたコストもシミュレーションに組み込まないと、実質利回りがマイナスになる恐れがあります。
不動産投資は「目的」に合わせて物件種別を選ぶ
不動産投資を始めるにあたり、地方の新築一棟物件を選択するか、都心の区分マンション等を選択するかは、投資目的と自己資金の状況によって分かれます。
一棟収益物件(目的:資産保全と事業規模の拡大)
- 【メリット】 土地の持ち分が大きく、リノベーション等のバリューアップや修繕のタイミングをオーナー自身の裁量で決定できます。複数戸を所有するため、区分と違って一部屋の退去で収入がゼロになるリスクを分散でき、賃貸経営は安定しやすい傾向があります。
- 【リスク】 取得コストの上昇による利回りの低下や、出口(売却時)における流動性の低さを考慮した緻密な資金計算が必要です。大規模修繕費用を自身で準備するため、資金管理に高い計画性が求められます。また、表面利回りには空室率が加味されていませんので、現実的な稼働率によるシミュレーションが重要です。
都心の区分マンション(目的:手間の軽減と手堅い資産形成)
- 【メリット】 都心の安定した賃貸需要を背景に、長期間の空室リスクを抑えられます。建物の修繕は管理組合が主導して計画的に行うため、個人で突発的な大規模修繕費を負担する可能性は低くなります。市場での流動性(売りやすさ)にも優れています。
- 【リスク】 購入価格が高いため毎月のキャッシュフローは大きく出にくく、時間をかけて残債を減らし、純資産を形成していく中長期的な視点が必要です。
株式会社田村ビルズでの投資に向いている人・向いていない人
向いている人の条件
- 老後が見えており、リセール(売却益)よりも目先のキャッシュフローの最大化を優先したい定年間近の方
- すでに他のエリアで複数の物件を保有しており、リスク分散の一環として地方の高利回り物件を組み込みたい方
- 地方特有の高いADコストや将来の修繕費を考慮しても、安全に事業を回せるだけの潤沢な自己資金がある方
見送るべき人の条件
- これから純資産を大きく育てていきたい現役世代(20代〜40代)で、1棟目・2棟目の投資先を探している方
- 「土地の価値」を重視し、将来的な売却(出口戦略)を確実に見据えた投資を行いたい方
- 地方特有のAD高騰リスクや人口減少による空室リスクを客観的に評価できない方
まとめ
株式会社田村ビルズは、高いデザイン性と防音性を備えたクオリティの高い新築アパートを、サラリーマンにも手が届きやすい価格で提供する優良な不動産会社です。しかし、物件の質が良いことと「地方の一棟投資が自身の資産形成に合っているか」は全く別の問題です。
おおやの視点
地方の新築アパートは、土地が安い分だけ利回りが良く見えますが、それは同時に「将来残る資産価値が乏しい」ことの証明でもあります。定年間近でとにかく毎月の現金収入を増やしたい方や、すでに複数棟を経営しているメガ大家さんのリスク分散としては有効ですが、現役世代が与信枠を大きく使って「最初の1〜2棟」として手を出すには、出口のリスクが高すぎます。
もし、あなたが現役世代のサラリーマンで、これから資産形成を進めていきたいと考えているなら、資産価値が下がりにくく流動性の高い都心の区分マンションの方が手堅い印象です。
私自身、一棟投資と区分投資の両方を経験してきましたので、一棟でも区分でもフラットな目線でアドバイスが可能です。すでに田村ビルズで検討しているアパートプランや、候補となる物件があるなら、一棟投資経験者として客観的に評価することも可能です。あなたの年収や目的に応じて、今は手堅く区分を買うべきか、それとも最初から一棟を狙うべきか。投資の「正しい順番」を知りたい方や、今提案されている物件に見落としがないか不安な方は、LINEで連絡をください。一切のポジショントークなしで、客観的に戦略と物件の相談に乗りますよ。



一棟アパートやRCマンションをメインに投資。
サラリーマン時代に不動産投資を開始し、家賃収入50万円/月を達成し独立。
独立後、不労収入を増やすべく不動産会社や金融機関を開拓し、不動産投資の拡大に成功。
一棟アパートやRCマンションをメインにしていますが、メリットあれば区分、別荘やタワマンも所有しています。
一棟アパートから始めるべきか、区分マンションか始めるべきか、不動産投資に興味がある方はどちらの相談にも乗れると思います。相談したい方はLINEで連絡くださいね。
不動産投資に大切なことは勉強ではなく、「順番と速度」です。
おおやの詳細はこちら